中華製ステーション型はんだごてを作ってみました。
Qiitaの下記記事で紹介されているものです。。
https://qiita.com/nanbuwks/items/bd594a1acf8ab1d90b60
本記事は、上記記事を参考に組み立てたときにわかりにくかった箇所のメモ等をまとめたものです。
これまで、HAKKOのステーション型はんだごて936というのを20年程使っていましたが、どうも温度設定の割に熱量の不足を感じていました。このこて1本で、0.5mmピッチのデバイスから、2A3等の真空管をはんだ付けを1本でこなしていましたが、どうもベタグランドやコネクタ類のはんだ付けに力不足を感じるようになっていました。
今回組立てたはんだごては、HAKKOのT12というこて先とヒーターが一体型のもの(の互換品)で、最大入力電力は70W(936は50W)です。類似のキットのメーカーのページには8秒で300℃に達するなんて書いてあります。(話半分かと思っていたら本当でした)
T12の構造は以下のようです。接点が3つしかありません。これでどうやって温度コントロールするのか不思議でしたが、ヒーターと熱電対が一体化され直列に接続されているようです。ヒーターがOFFの期間に熱電対で温度を測定するようです。
組み立てに必要な情報はQiitaの記事のみ。
キット内にドキュメントは一切なし。メーカーのサポート情報も一切なし。
潔いなぁ。
以下は、QiiTAの記事を参考に組み立てたときにわかりにくかった箇所のメモです。
カスタムファームを開発されている方のGitHubから引用しました。6ピンコネクタのピン配が異なっていますが、ほぼこの回路だと思います。熱電対のアンプは半固定抵抗で、ゲイン調整ができるようになっていますが、設定メニューからゲイン調整が可能なのでここはいじらずにおきます。
このはんだごてで使えそうなカスタムファームウェアの入手先は以下です。現在検証中ですが、配布されているままのソースだと私の個体だと今のところ温度が安定していません。
制御基板とファームの書き換えに必要なST-Linkの接続は以下です。ヘッダピンはL字型のものをCPUと干渉しないようにナナメにつけています。RSTの配線はヘッダピンに出ていませんので、CPUとC1の接続箇所(C1の頭)に直接はんだ付けしています。
とあるジャンク市でMAX31855(K型熱電対アンプ)を仕入れてきたので、こて先の温度特性を計測してみます。センサーアンプは零点補正が不要(無調整)で、誤差も2,3℃と非常に優秀です。
熱電対は、HAKKOのはんだごて用センサ191-212(の互換品?)にを使用。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07K1TVTXT/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o00_s00?ie=UTF8&psc=1
マイコンと表示部は、みんな大好きM5Stackで。
こういうのが簡単に作れるのがよいですね。
注意点として熱電対と並列に10nFのコンデンサを抱かせないと、ノイズでMAX31855がエラーを吐きます。(MAX31855のマニュアル参照)
現状4700pFのコンデンサを抱かせていますが、エラーは完全に抑制できていません。
測定結果を以下に示します。
はんだごての当て方や、こて先への予備はんだの状況で温度は10℃ぐらいは変化します。
熱電対との熱結合を最大にするため、K型はんだごてにはんだを盛り、その中に熱電対の接合部を差し込む様な感じで、各測定点の最大温度を測定してみました。
ちなみに、現有のはんだごてステーションHAKKO 937の設定340℃の温度を測ってみると300℃と40℃も低いことが判明しました。入手して20年以上?、一度も校正していませんでした。
このはんだごては、設定メニューの中で、温度キャリブレーションができます。
設定値を1.00⇒1.03に変更し、3%程度マイナス側に補正しました。
最終的に、可搬性を考慮して(どこに持っていくのか?)マイコンと表示器をM5StickCにしました。
はんだごてにPowerがはいってからのこて先の温度推移を以下に示します。うたい文句通り、8秒でこて先が300℃に達しています。(温度設定が400℃の場合です)
自作温度計の精度が気になるので、アリエクで送料込み\1,252で買ったHAKKOもどきの温度計と比較してみました。330℃の設定で、測定した結果が±5℃程度なので、温度が大きくはずれていることはないと思います。
以上